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受け取ること

受け取る、というのは怖いことだ。いきなり道端で「100万円あげる」と言われたら、おそらくびっくりして多くの人が断るだろう。何か裏があると思うからだ。なぜ「何か裏がある」と思うかといえば、それは受け取る理由や資格が自分に何も無いのに100万円くれるはずがないと思うからだ。

「○○さんって笑うとほんとにかわいいよね」と言われたときに「え？ほんと？ありがとう！嬉しい！」と言える人と「え？私がかわいいはずないでしょ」と言ってしまう人とがいる。まぁそこまで極端でなくとも「そうかなぁ…」などと言って良いリアクションがとれない人がいる。100万円と同じように、自分にそれを受け取る資格がないと思っているからだ。

◆与える人の気持ち

例えば好きな人ができて、一生懸命誉めても誉めても、相手が「そんなことないよ」「私なんか…」と言っていたらどうだろうか。与えたものを受け取られないというのは悲しいことだし、好きだから価値を認めて誉めているのに、だんだん本当に価値がないように見えてくる。

プレゼントを渡したときに「悪いよ…」と言われたらどうだろうか。「今日はなんでもおごる！」と言った日に、相手がお寿司のガリしか食べていなかったら、どうだろうか。与えたかった気持ちがしぼんでしまうだろう。

友達が彼氏にふられて泣きついてきたとする。二時間も電話で相談にのって励ましていたとしよう。電話を切るときに相手が「負担かけてごめんね…おやすみ…」と言ったら自分もがっくり来るだろう。でも「本当にありがとう。元気出てきた。すっごい感謝してるよ」と言われたら、二時間の疲れも吹っ飛ぶはずだ。

与えるほうの気持ちは、相手にそれを受け取る価値を見出しているから与えている（道端の100万円はそんなはずはないから、受け取らなくて正解なんだが）。相手にそれを受け取る価値があると思っているし、受け取ってほしいと思っている。そして与えるものを受け取られるということは、もう天にも昇る気持ちと言えるぐらい、嬉しいことでもある。

◆受け取れない？

与える人の気持ちを考えれば、受け取るということは相手を喜ばせることになるし、どんどん受け取りたいところだが、冒頭に書いたように「自分にその資格がない」「何か裏があるのでは」と思っていると素直に受け取れないだろう。誉められてもリアクションできないし、プレゼントも「こんなのもらっちゃ悪いよ…」と言ってしまうかもしれないし、特に男など自立型の人は受け取るのが下手だ。

受け取るということは、相手が自分にくれた価値を、自分のものにすることだ。だから、どんどん受け取って吸収したいところではある。そうすれば相手は喜ぶし、自分は自信がつくし、いいことばかりだろう。自信がなければ受け取るのは怖いし、受け取ったときに「本当の私を知らないのに…」と罪悪感が出てしまうこともあるだろうが、そこを意識的に乗り越えて受け取っていきたい。

受け取る人というのは、それはそれはモテる。誉められたら喜んだり、合コンでも遠くの醤油をとってもらったときに「ありがとう」と言ったり、こういう細かいことで与えたほうはその人に好印象を抱いていく。与えたい気持ちを満たしてくれる人は、人気が出やすいのである。

◆受け取るには

簡単だ。素直に喜び、まぁそれができなくても、とりあえず「ありがとう」と言えるところから始めるのがいいだろう。狭い道を他の人がさっとあけてくれたら、通るときに「すみません」ではなく「ありがとうございます」だ。ありがとうが言える場面では全部言うといい。それは少し胸がむずむずするかもしれないが、むずむずする分だけ、自信がなかったということで、いいリハビリになっているから。

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付き合っていると「彼氏は私にいろいろしてくれるのに、私は彼氏の何の役に立っているんだろう」と不安になることがある。特にいつもデート代などを負担してもらっていれば、なおさら。自分からできることがないのであれば、とにかく普段から感謝を伝え、与えられた愛情にも食事代にも、何もかもに「ありがとう」を言って受け取ることだ。与えるほうは、それで大きな大きな喜びを得るのだから。悪いのは「受け取ることが当然」になってしまったときだけで、受け取ること自体は悪くはない。

ただもっと根深く「受け取れない」という人もいて、これは「受け取ろう」という意識付けで何とかなる話ではないが、ここでは触れないでおこう。

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